ファイルをZIP圧縮して送るべきなのは、たくさんのファイルやフォルダをひとつにまとめたいときと、テキストのようによく縮むデータを送るときです。写真、動画、音楽、完成したPDFを送るなら、圧縮する必要はほとんどありません。これらの形式はすでに圧縮されているため、ZIPにしても数%しか小さくならず、メールのフィルターに止められることもあります。
これが短い答えです。実際には、何をどうやって誰に送るかで判断が変わります。この記事では、圧縮で何が起きているのか、ファイルの種類ごとの効果、よくある落とし穴(ブロックされる添付ファイル、壊れたアーカイブ、スマホで受け取る相手、パスワード付きZIP)、そして圧縮せずに送る方法を順番に説明します。
ZIP圧縮すると何が起きるのか
ZIPファイルには2つの役割があります。ひとつは複数のファイルやフォルダを、フォルダ構成を保ったまま1つのファイルにまとめること。もうひとつは可逆(ロスレス)方式で圧縮することです。繰り返し出てくるパターンを一度だけ記録し、展開すると元のデータが1ビットも欠けずに戻ります。何も失われませんが、魔法が起きるわけでもありません。取り除ける無駄がもう残っていないファイルは、ZIPにしても同じ大きさのままです。
だからこそ、効果はファイルの種類しだいです。テキスト、CSVで書き出した表、ソースコード、非圧縮のメディアには繰り返しが多く含まれます。一方、JPEG、HEIC、MP4、MOV、MP3、AAC、多くのPDFは、それぞれの形式の中ですでに圧縮されています。その方式はZIPよりはるかに効率がよく、画質や音質を一部削る(非可逆の)ものも少なくありません。
ZIPに圧縮するとファイルは小さくなる?種類別の目安
| ファイルの種類 | すでに圧縮済み? | ZIPでの縮み方 | 圧縮する価値 |
|---|---|---|---|
| テキスト、CSV、JSON、ログ、コード | いいえ | 大きい(半分以下になることも多い) | あり |
| WAV、AIFF、BMP、非圧縮TIFF | いいえ | 中程度 | 場合による |
| 古いOffice形式(.doc、.xls) | いいえ | 中程度 | 場合による |
| 現在のOffice形式(.docx、.xlsx、.pptx) | はい(中身がZIP形式) | ごくわずか | まとめる目的のみ |
| JPEG、HEIC、PNGの写真 | はい | ごくわずか | まとめる目的のみ |
| カメラのRAW(CR3、NEF、ARW、DNG) | 多くの場合 | 少し | まとめる目的のみ |
| MP4、MOV、MKVの動画 | はい | ほぼ変わらない | なし |
| MP3、AAC、FLACの音声 | はい | ほぼ変わらない | なし |
| たいていは | 少し | まとめる目的のみ |
Microsoftも、JPEG画像のようなファイルはすでに高度に圧縮されているため、複数のJPEG画像をZIPにしても合計サイズは元とほぼ同じだと説明しています。正確な縮み方は中身によって変わるので、いちばん確実なのは手元のファイルで試すことです。一部をZIPにして、エクスプローラーやFinderでサイズを比べてみてください。
ZIP圧縮して送ったほうがいい場合
- 小さなファイルが数百個ある。 バラバラの800ファイルより、1つのアーカイブのほうがダウンロードも確認も保管も楽です。小さなファイルが大量にあると処理が遅くなるツールもあります。
- フォルダ構成が大事。 Webサイトの書き出し、プログラムのプロジェクト、テクスチャがリンクされた3Dシーンは、フォルダ構成が崩れると使えません。「CADデータや3Dファイルを送る」もあわせてどうぞ。
- テキスト中心のデータ。 データベースのダンプ、ログ、CSVの書き出しは大きく縮みます。
- 完了したプロジェクトの保管。 日付入りのZIPを1つにしておけば、長期保存にもすっきりです。
- 1ファイルしか受け付けない提出先。 1回の提出につき1ファイルしかアップロードできないフォームやポータルもあります。
ZIP圧縮しないほうがいい場合
- 動画1本、写真のセット、音声ファイル。 圧縮を待つ時間のわりに、ほとんど小さくなりません。
- 相手がスマホで受け取る。 スマホでもアーカイブは開けますが手間がかかります。バラのファイルならそのままプレビューできます。
- とても大きなアーカイブ。 60GBのZIPがダウンロード中断で壊れると、全体が使えなくなることがあります。バラのファイルなら失敗するのは1つずつです。
- 相手が中身を先に見たい。 写真を確認するクライアントは、大きなアーカイブを中身もわからずダウンロードするより、一覧で見られるほうを好みます。
- MacとWindowsの間でやり取りする。 日本語のファイル名が、相手の環境(とくに古い展開ソフト)で文字化けすることがあります。MacのFinderで作ったZIPには「__MACOSX」というフォルダが含まれ、Windowsの相手を戸惑わせることもあります。
ZIPファイルはメールで送れる?注意したいこと
添付の上限内なら送れますが、アーカイブはセキュリティフィルターに最も警戒される添付ファイルです。たとえばGmailは2026年10月時点で、.exeなど制限された形式を含むアーカイブや、アーカイブを中に含むパスワード付きアーカイブを受け付けません。会社のメールゲートウェイはさらに厳しいことが多く、中身を検査できない暗号化ZIPを、送信者に知らせずに隔離することもあります。
日本ではとくに、パスワード付きZIPがウイルスメールに悪用されてきた経緯があります。個人情報保護委員会は2020年11月、パスワード付きZIPを添付してパスワードを本文に書く攻撃メールが確認されているとし、添付が暗号化されているためメール配送経路上のセキュリティ製品の検知をすり抜けやすいと注意を呼びかけました。
サイズも落とし穴です。30MBの写真フォルダをZIPにしても25MBの上限には収まりませんし、多くのメールサーバーは添付ファイルを変換(エンコード)後のサイズで数えるため、約3割大きくなります。ドコモメールのように本文と添付を合わせて約10MBまでのキャリアメールなら、なおさらです。プロバイダごとの上限は「メール添付の容量上限」の表で確認でき、上限を超えるならリンクで送るのが確実です。「大きなZIPファイルを送る」でも方法を紹介しています。
パスワード付きZIPで送るのは安全?(PPAP問題)
暗号化の方式しだいです。昔からあるZIPの暗号化(ZipCryptoと呼ばれることが多い)は古く、弱いとされています。7-Zipなどのツールを使えば強力なAES-256で暗号化したアーカイブを作れますが、相手にもそれに対応したソフトが必要です。Microsoftによると、Windows 11の標準機能は暗号化されたアーカイブの作成・展開に対応しておらず、7-ZipやWinRARなどのアプリを使うよう案内しています。いずれにしても、パスワードは別の経路で相手に伝える必要があります。
パスワード付きZIPをメールで送り、続けてパスワードを別のメールで送る方法は、日本では「PPAP」と呼ばれています。同じメールの経路で両方が届くため、片方が盗み見られればもう片方も見られる可能性が高く、受信側のウイルス検査も効きません。2020年11月17日には、当時の平井デジタル改革担当大臣が記者会見で、内閣府・内閣官房で「暗号化ZIPファイルの廃止」の方向で検討を進めていると表明しています。
目的が機密保持なら、暗号化ZIPよりも、パスワードと有効期限をつけた転送や、エンドツーエンド暗号化を使った転送のほうが、たいていは簡単で安全です。インストールするものも、メールフィルターに止められるものもありません。「ファイルを安全に送るためのチェックリスト」と「パスワード付きでファイルを送る」で詳しく解説しています。
フォルダをそのまま送る
Transfrにフォルダごとドロップすれば、構成はそのまま。無料で1回100GBまで送れます。
ZIP・RAR・7zはどれを使えばいい?
人に送るなら、ZIPが無難な標準です。Windows、macOS、iOS、Androidのどれでも追加のソフトなしで開けます。7zはテキストのようなデータをZIPより少しよく縮めることが多く、強力なAES-256暗号化にも対応していますが、相手が7-Zipなどのツールを入れる必要がある場合があります。RARはWinRARで作る独自形式で、最近の環境なら展開はたいていできますが、作成には有料のツールが必要です。Microsoftによると、Windows 11バージョン24H2はZIPに加えてRAR、7z、TARにも対応しています。それでも相手に渡すなら、数%の圧縮率よりワンクリックで開けることのほうが大切です。
もうひとつ、とても大きなアーカイブについて。もともとのZIP形式には4GBの上限があり、ZIP64という拡張でその上限がなくなりました。現在のツールは自動でZIP64を使いますが、かなり古い展開ソフトだと巨大なアーカイブで失敗することがあります。大きなメディアをバラのまま送るべき理由がここにもあります。
ファイルを圧縮する方法(Windows 11・Mac・iPhone・Android)
ステップ 1
Windows 11
エクスプローラーでファイルやフォルダを選んで右クリックし、「圧縮先」>「ZIP ファイル」を選びます(表示はWindows 11のバージョンによって少し異なります)。従来のメニューやWindows 10では「送る」>「圧縮 (zip 形式) フォルダー」です。同じ場所に同じ名前のZIPができます。
ステップ 2
Mac
Finderで項目を選び、controlキーを押しながらクリックして「圧縮」を選びます。元のファイルの隣にアーカイブができます。
ステップ 3
iPhone・iPad
ファイルアプリで項目を選び、その他ボタンをタップしてから「圧縮」をタップします。1つのファイルなら長押しして「圧縮」を選ぶこともできます。
ステップ 4
Android
Files by Googleやメーカーのファイル管理アプリで項目を選び、「圧縮」や「ZIP」といったメニューを探します。メニューの名前や場所は機種によって異なります。
圧縮しないで送る方法もある
ZIPにする理由の多くは、送る手段が小さな添付ファイル1つしか受け付けないことです。転送サービスならその制約はありません。ファイルやフォルダごとドロップすればフォルダ構成はそのまま保たれ、受け取った人は写真や動画、書類をダウンロード前にプレビューできます。Transfrでは、受信者が「すべてダウンロード」ボタンを押すと、フォルダ構成を保った1つのZIPとしてまとめて受け取れるので、送る側がアーカイブを用意する必要はありません。
すでにZIPがあるなら、そのまま送っても問題ありません。転送サービスはZIP、RAR、7zなどのアーカイブも受け付けます。無料プランは1回100GBまで。手順は「フォルダを圧縮せずに送る」で紹介しています。
圧縮するかどうかの早見表
| 送るもの | ZIPにする? | おすすめの送り方 |
|---|---|---|
| 写真数枚や動画 | しない | 転送リンクで元の画質のまま |
| ファイルの多いプロジェクトフォルダ | どちらでも | フォルダのまま送るか、ZIP1つにまとめる |
| CSVの書き出し、ログ、コード | する | ZIPにして、サイズに応じてメールかリンク |
| 機密書類 | 不要 | パスワードやエンドツーエンド暗号化つきの転送 |
| メールで20MBを超えるもの | ZIPでは足りない | 添付ではなくリンク |
サイズ別の送り方を全体的に知りたい方は、「大容量ファイルを送る方法」をご覧ください。